テゴマス「テゴマスのまほう」/KinKi Kids「K album」/関ジャニ∞「FIGHT」

ここ1ヶ月ほどで聞いたジャニーズの名盤感想などをば。

テゴマスのまほう

テゴマスのまほう

「ファンシーここに極まれり!!!」と叫びたくなるテゴマスの名盤。「実力派ファンシー」という新ジャンルを築いたと言っても過言ではないと思われます。地に足のついたファンシーというか、コンセプトとしてのファンシーというかね。とにかくテゴマスの二人がここへ来てまだまだ歌上手くなっとるし、もちろんJE最大の魅力と言える音の質の高さも健在。意外にもこれまでなかった「ファンシー」という新たな色を完全に着こなしてやがるぜこいつら!と震えが止まらない、至極現実的な名盤です。ファンク、ロック、フォーク、ジャズ、そしてもちろんポップ、ありとあらゆるジャンルをJ-POP流の再解釈したJ-POPの名盤っつーかね。さらにそこへ「テゴマス」というユニットの新たな武器である「ファンシー」要素をがんがん散りばめて統一感もあるという。この「ファンシー」ってテゴマス本人たちの趣味趣向というよりは、あくまで「テゴマス」というプロジェクトに準じた方向性に過ぎないから面白いなぁと思います。プロフェッショナルの仕事としての完成度が異常。白眉はもちろんこのアルバムのリードを務める「魔法のメロディ」。純文学めいた歌詞の美しさが大好きです。テゴマスの二人が魔法を使える魔法使いなのではなく、あくまでメロディと彼らの紡ぐ歌声に魔法が宿っている、というほのかなリアリズムもたまらん。「その憂いもその痛みも溶かして笑顔に変えてくれるよ」は「変えてあげる」じゃないところがめちゃくちゃエモい。その他「少女漫画か!」とツッコまざるをえないほどに戯画的な青春を歌う「夕焼けと恋と自転車」、2番の増田さんの声がエロすぎる「わすれもの」(ジャズテイスト好きなラブマさんはもちろんこれがナンバーワン)なども素晴らしい。決して都会的ではない温かさがあって、じっくり聞き続けられると思います。

K album

K album

なんというか、かつて「ジャニーズ」のキンキに物凄い入れあげていた私としてはすごく微妙なアルバムですねこれは…。ぶっちゃけた話、「発売元:ジャニーズ・エンタテイメント」である以外にこのアルバムが「ジャニーズ」である要素はほとんどないと思います。アイドルたるジャニーズにコレは許されない、もはやそれを超越してしまったキンキにしか許されない。正直寂しいです、Cアル〜Dアル辺りは本当にアイドル史に残る名盤だと思うし、私はなんだかんだ言ってもアイドルをやっているジャニーズの人たちが好きだから。ただこのクオリティのものを出されたらもう何も言えんわっていうw Kアルということで今までキンキに携わってきたアーティストが「KinKi Kids」という軸を共有して曲を提供した今作ですが、ああクリエイター陣にとってもキンキはもうアイドルじゃないんだな、ってのが証明されてて何ともいえないノスタルジー襲われる…。もちろん本当に味わい深くて素晴らしい1枚です。ただし「アイドルの」アルバムとしての評価は私にはできない。雑誌で両名が「僕たちはアイドルじゃない」というニュアンスのことを仰ってましたけど、確かにもはや彼らはアイドルじゃないというのが証明されてしまったなぁというのが感想ですね。オタクがそれを望むか望まないかっていうのはまた別の話。じゃあキンキは何なんだって言われるとまた難しいんだけど。ただジャニーズ内アイドル飽和時代、アイドルじゃないジャニーズがいてもいいのかなとは思います。重ね重ね、オタクがそれを望むか望まないかは別にしてね。個人的には山下達郎御大のシンプルながら深すぎる愛の解釈が炸裂している「いのちの最後のひとしずく」がたまらん。深い曲をちゃんと深く歌えるキンキはやっぱすげえなと思います。それとは逆に、至極軽快でハッピーな「もっと もっと」は今度は歌声の重さと曲の軽快さ*1のギャップが良い。もちろん、失われてしまったかのように思われたアイドル要素を頑張って抽出しているw「同窓会」辺りもたまらんですYESアイアム林田健司チルドレン。

FIGHT

FIGHT

今年ももう終盤かと思われた時期にすんげえのが来ました。「PUZZLE」の時にこれはエイト史、ひいてはアイドル史の残る名盤やでえと思ったけどまだ超えるね…これが…勢いというヤツか…!つって震撼した、間違いなく今年のナンバーワンになりうる名盤。「こんなに濃いアルバムが許されるんだ…!」とアハ体験するほどに濃い。とにかく「今までアイドルをdisっていた系女子」への訴求力がハンパじゃないです。ひとさじのダサさと熱血も含めてね。ガチとおふざけのバランスがちょっと良すぎる。こんなん好きに決まってんだろ…。なんたってシングル曲が地味すぎて浮いているほどに濃いw これだけ濃いと胸焼けしそうなんだけど、決してそうは成り下がらないところにクオリティの高さが垣間見えて正直羨ましいですよ。他ユニがやるべきテイストを、全て(しかもハイクオリティの曲で!)エイトがやってしまっていて若干焦るもん。例えば数年前ならかつんにしか許されなかったクール、今なおショタにしか許されないはずのキュートとか。それらを全てエイトが網羅してしまっていて、「コレ出されたら他ユニどないすんねん!」と叫びたくなるほどに色々と荒らしまくっている…。ぶっちゃけエイトにとっても他ユニにとっても全てのジャニヲタにとってもハードルの上がってしまう、罪深い1枚だと思います。アイドルのアルバムって聞く方も「まぁこれくらいの出来ですよねー」みたいな、なあなあの妥協ってあるじゃないっすか?2、3曲ブチ上がるクオリティの曲があったら及第点、みたいな。それを完膚なきまでにブチ壊してしまった1枚だと思うんだよね…。だからこれからはエイト担も私をはじめとする他担も「FIGHT」の呪縛から逃れられないと思う。これは間違いなく悲劇です。w エイトがこれまでに築き上げてきた実績の結果だと言えばそれまでなんだけど、「ああ、こういうことやって欲しかったなぁ」というもののほとんどが詰め込まれてるんだよね…。そういう意味で私にとっての「ARASHIC」と同じ位置にあるアルバムなのかもしれない。中身に言及するともう論文書けそうなんだけどw、「モンじゃい・ビート」は"破天荒な関西のあんちゃん"という「関ジャニ∞」のパブリックイメージを活かしまくった名キャラソン。もちろん音は重い。さらにさらに素晴らしいのが、エイトの過去、現在、そして未来を炙り出した二次創作としての「Fight for the Eight」。このアレンジが嫌いなわけないだろ…あとPVも最高…3000字くらいこの曲で書ける…。で、追い打ちをかけるように「誰が書いたんだよこの曲!安田!?おい!?マジで!?」というリアクションを取らざるをえないw「Dye D?」もあるよっていう。安田はアイドルやめても職業作家で食っていけるだろ…恐るべきセンスの良さである…。各々の声質を熟知したかのような譜割りもさすがッス安田先生。それから個人的には「ツブサニコイ」が改めてキました。「全開ガール」でしかちゃんと聞いたことなかったんだけど、イントロのストリングス→エモさを煽りまくるバンドサウンドの流れでもう勝利だよね…。ちょっと不器用な歌詞も、ここでこういう音が来てほしい!というベタな展開も、何もかもが素晴らしい丁寧な1曲だなと。ぶっちゃけこのアルバムで一番つまらんのがシングル群だと思うんだけどw、こと「ツブサニコイ」〜「イエローパンジーストリート」の流れはすっごい良いなーと思います。濃さこそアルバム曲に負けるもののw、丁寧な作りが効きまくっとるしエモくて良い。大倉が歌う「仕草に愛/君は美しい/見た目以上にその全てが」はズルいよね…。そして2枚目については「こんな男子らしい厨二もおふざけもキュートも包括してるとかズルすぎるだろ!」としか言えないので割愛します。w

*1:手の込んでいる「軽さ」なのがまた良いね…