右か左かさえ分からない日が来ても/日生ANOTHERとりあえず雑感

紆余曲折あってここ1年で関西ジャニーズJr.にハマりまして、そしたら東京で1ヶ月舞台やるっつーので観てきました。
関西の面々もここ数年でちょくちょく東京に来ていたものの、選抜ではなく「関西ジャニーズJr.」としてメインアクトで名前が出るのはほぼ初めて?だったのかな。そんなこんなで「とりあえず顔を覚えてもらう」というよりは、その一歩先の「じゃあ関西に何ができるのか」が問われる公演だったのかなぁ(まだ終わってないけど…)。それは個人のスキルとかではなく、「関西ジャニーズJr.」という団体としてどういうアイデンティティを持っているのか、っていうのと同義だと思うんだけども。個人個人を出す前に、まずは関ジュであることが必要とされている、というか。だので作品的にも団体芸の占める割合が多かったし、個人単位のキャラクターも薄味でしたね。実際重岡さんとか結局3回観てもどういう性格の人か分からんかったしw神山さんももったいない使い方だなーと思った。けど今はきっと個人が際立つキャラ云々よりも、関西という枠に殉ずる必要性があったのではないでしょうか。もちろんそもそもシナリオが粗かったっていうのもキャラが薄い大きな要因なんだろうけどな!w
つーかいくら枝葉はアレンジするつっても20年前の筋書きをそのまま演るのはやっぱ無謀だよね!w 病気の敵(部族)を助けるために崖の下に生えてる薬草取りに行く(しかも落ちる)とかそんな展開ベタすぎて逆に逆に見たことねーよっていうw シェイクスピアだとかつかこうへいだとか、まぁ何でもいいんだけど何十年何百年経とうが普遍性のあるテーゼを扱うならともかく、とにかく大衆に大衆に落とすジャニーズ舞台をリメイクするのってすっごい大変なんだなって…思った…。けど日生では優馬くんというスター様参戦&諸々トンチキ要素(突然の父登場、突然の近親愛、突然の美人が老化など)が足されてることによって松竹よりなんとなく箔が増してたのでスゴいw
で、そんな中気炎を吐いていたのが桐山・役者魂・照史先生でありましょう。基本的には「友情、努力、勝利」の2Dなキャラクターが占める中、「弟を死なせてしまう」という1点を掘り下げて掘り下げて、唯一作中に3Dのキャラクターを生み出しているという凄まじい想像力。これはもう演技力の問題ではなく、薄くヒントの少ないキャラクターからどこまで人間の業を背負う裏設定を作れるかという想像力の問題なのではあるまいか。その点「弟を自死に追いやってしまう」という超重いヒントから、「あきと!しょせんジャニーズ舞台なんだからそこまでしなくてもいいのよ!」と嘆きたくなるほど細やかなキャラクターを作り上げてらっしゃってガチンコ俳優の経験はダテじゃない。松竹アナザーの弟・れんれんは異なる環境に順応できない幼さが「弱さ」であり、死してなお寄り添ってあげるために島に残る、っていう判断は兄として健全だと思うんだけど、日生はなー!弟役に平野ということで、あんな殺しても死ななそうなやつどないするんじゃと思ってたらまさかのメンヘラルートで。なるほどその手があったか感。平野のいっつもヘラヘラして何考えてんのか分かんない感じが「いつの間にか心が蝕まれてた」の伏線にもなってるんだよね。あのふわふわしたまんま、満点の星空に誘われて死んでいくから平野の入水は結構怖い。ともかく「自分がグレたせいで」心を病んだ母、そして母と同じように心を病んで自ら死を選んでしまった弟、と肉親二人に同じ狂気の道を歩ませてしまった日生アキトの心情はちょっと計り知れないですよ。きっと桐山先生自身もここがキャラクターを掘り下げるためのリソースだったんじゃないだろうか。自分に確実に流れている狂気の血に抗うか、もしくは。肉親の二度の過ちを止められなかったアキトは島に残っていったい何をするつもりなのだろう。2回目の観劇ではもうすべてがアキト自死フラグにしか感じられなくてすっごいつらかった…島で死ぬ気満々やんけ…っていうのが節々から見てとれてしまったからつらくてつらくて。この真相は桐山先生に聞かなきゃ絶対分かんないけどw以下Twitterに落としたアナザーズアフター妄想を貼っておく。

うーん、ユウマのターンでも描かれてる通り「血の悲劇」はおそらくこの作品のテーマの一つでもあって、それは誕生の島ではアキトが一番受け継ぐべきものだと思うんだよね、やっぱり。島に残ったアキトは知らず知らずのうちに母や弟と同じ狂気に苛まれて死んでしまうかもしれないけど、私は母や弟が辿った血の宿命を悟ったアキトは「狂う前」に死を選ぶかもしれないと思う。アキトが自分の血の運命に抗う方法はいずれにしろ死を選ぶことしかないような気がするよ…おお…! 日生で追加になったラストシーンも最高の余韻でした。死んでしまったショウがアキトの目の前に現れる、アキトが愛おしそうに頭を撫でる、けれどショウはアキトに背を向けて消えてしまう、残されたアキトははっと我に返る。おそらくアキトが見たショウは幻で、もしかしたらこの時点ですでにアキトの心には闇が落ちているのかもしれない。
そんなわけで最後あんなに鼻白むほどのw大団円のわりに、アキトだけが最後まで人間の、血の宿命を背負ってるとこが世にも奇妙な物語みたいな後味の悪さで嫌いじゃないです。不思議の国のアリスというか、2Dのキャラクターばかりが息づく舞台に一人だけ3Dのキャラクターが生きている違和感というか。気づかなければ普通の大団円としてやり過ごせるけど、一度違和感を持ってしまったらめっちゃ気になってしまうんだよね。派手に演りすぎない細やかなネタの仕込み方もすんげえ桐山先生っぽいなと思います…かっこいい…。いつかネタばらししてほしいけどしてくれないだろうなぁ。
それ以外の話。そもそもは「平野の演技が見たい!」と思って松竹に行き、そして平野が演技もできちゃうことを知って、役柄がものすごいランクアップした日生アナザーでどういう仕事をするんだろうと思ったら……で、できてた……演技……できてた……。もちろん「心を病む」というある意味チートな役柄、そして桐山先生に助けられてた部分も大きいと思うんだけど、それにしても演技ができてた…(震)。羞恥心の置きどころが人とは違うんだろうな。普通舞台っぽい大きい演技って照れが先立ってしまいがちだけど、平野の演技には照れが全くないので感心してしまった。さすが生きてるだけで丸儲け男。これからもその圧倒的チートスペックで我々を震え上がらせてください。最初は若干萎縮してBADやWESTの背中に隠れてるみたいだったキンカンも初日から2週間経てばそれなりに堂々としていたので良きことかな。キンカンを本当に!本当に!応援しているので!!言いたいことはいろいろとあるのですが、とりあえず康二かわいいおじさんが萌芽してしまった身としては松竹でおじさんの心のキングオブ関西を2nd Movementさせた康二の腹チラTシャツ(踊るたびにものすごい絶妙な面積の腹チラが叶うという魔性のアイテム)が上京してきてたので良かったです!!ありがとう衣装さん!!!!!日生1回目では康二が松竹では決して見せなかったパンツ(のパイピングんとこ)をご開帳していたことに大変ショックを受けたりもしました。康二都会に染まらないで!!(赤飯炊きながら)けどマジでみんなもっと康二のパンチラ速報流すべきだから…!康二がドルバガのパンツとか履き始めたらおじさんは泣きながらもう一度赤飯を炊きますね。ハハッ気持ち悪いだろう。19まで純情を守らせてくれ〜♪(鉄のパンツ)
こんな話でいったん終わるのもナンですがとりあえずここまで!いろんなレイヤーからいろいろ書きたいことあるんだけど、それはまたいつか気が向いたら書いときます。